EurekaMoments

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中国の企業で働くための就労ビザを取得する方法

目的

前回の記事で、自分が中国の企業からオファーを貰った際に、
どういった点について確認・交渉し、受諾の判断をしていたか
についてまとめました。
www.eureka-moments-blog.com 確認と交渉の末、オファー内容についてお互いに合意し、受諾にまで
至れたら、次はいよいよビザの申請を行うことになります。

ビザを申請し取得できるまでにも、いくつかの面倒なステップを
クリアしていく必要があるので、今回の記事ではその詳細について
まとめようと思います。

目次

1. 取得するビザの種類を確認する

中国で働くことができる就労ビザを「Zビザ」といい、これを取得
する必要があります。Zビザは有効期限が3か月の臨時就労ビザであり、
あくまで入国許可申請書という位置付けです。

このZビザが有効な3か月の間に中国へ入国し、後述する「工作許可書」と
「居留許可証」を現地にて申請・取得することで初めて、中国での1年間の
滞在が可能になります。

ビザを取得したら終わりではないので気を付けましょう。

2. 外国人工作許可通知申請用の書類を集める

就労ビザを申請するには、まずは中国政府からの労働許可を得ないといけません。
この労働許可は「外国人工作許可通知」と呼ばれ、これを得ることで初めて
ビザ申請の手続きができるようになります。

この労働許可を申請するには、申請者が自国で必要書類を集め、
それを中国企業側に送付します。そして、企業側がそれらの書類を
持って現地で許可申請をすることになります。

自分が日本側で集める必要がある書類が沢山あり、それらを全て
揃えられるまでにもかなり時間がかかるので、必要書類のリストと
その入手方法について説明していきます。

2-1. 企業からのオファーレター(自分のサイン済みのもの)

まずはこれがないと始まりません。
オファー関連についてはこちらの記事にまとめていますが、
www.eureka-moments-blog.com 交渉と受諾を無事に終えていれば、企業からオファーレターが発行され、
自分の手元に送られているはずです。そして、これに自分の手書きのサインを
したものが、他の書類を入手するのに必要となることがあります。

オファーレターは日本語で言えば雇用契約書や採用通知書であり、
ビザ申請に必要な書類を集める際に、何故その書類が必要なのかを
証明するための書類になります。

2-2. パスポートの原本とコピー

有効期間が6か月以上残っているものである必要があります。
コピーを提出する必要がある場合もあるので、カラーで複数枚の
コピーを用意しておくと良いでしょう。

2-3. 最高学位の学歴証明書

自分が在籍していた学校の窓口やオンラインから発行の申請を
しましょう。自分の場合は学部と修士の学位を持っていたので、
修士の修了証明書を和文と英文でそれぞれ発行してもらいました。

これらは後の工程で必要になるのですが、和文と英文のものが
両方必要になるので、どちらも忘れずに発行してもらいましょう。

また、発行日が3か月以内のものであるという制約があるので
気を付けましょう。

2-4. 犯罪経歴証明書

自身が過去に犯罪を犯したことが無いということを証明するためのものです。
これは、自身が住民票をおいている都道府県の警察に行って、専用窓口で
発行の申請をします。

その際に必要な書類は、

  • 有効期限内のパスポート
  • 氏名と住所を確認できるもの(住民票やマイナンバーカード、運転免許証)
  • 発行必要な理由を証明できる書類(サイン済みのオファーレター)

です。ここで、先に入手しているはずのオファーレターが必要になるので、
申請の際は忘れないようにしましょう。

その場で申請書類を記入したら、上記3つの書類と一緒に提出して、
申請の手続きは完了です。発行されるのは大抵の場合1週間後と
なり、受け取りの際はまた同じ窓口に出向く必要があります。

また、発行された証明書は専用の封筒に入った形で渡されるのですが、
これは厳封されているため、自分の手で開けてしまったら無効になって
しまいます。後の工程でも必要になる大事なものなので、うっかり開封
してしまわないように気を付けましょう。

2-5. 証明写真

ビザ申請と、後述する健康診断の際に必要となる証明写真を用意します。
サイズは目的に応じて違うものにする必要があり、

  • ビザ申請用: 縦4.8cm×横3.3cm
  • 健康診断用: 縦4cm×横3cm

となっています。また、どちらも共通で下記の条件を満たしている
必要があります。

  • 6か月以内に撮影されたもの
  • フチなし
  • 白背景
  • 眼鏡なし

写真提出の際は、プリントされたものの場合もあれば、jpeg形式のデータ
の場合もあるので、両方とも用意しておく方が良いです。プリント版は
余裕をもって複数枚用意しておきましょう。

2-6. 在職証明書

自分が現在勤務している企業の人事部に発行してもらう書類であり、
自分の業務内容や勤続年数などが、転職先の企業で定めている要件に
合っているかを証明するために必要になります。

一般的には、下記の内容が記載された上で、その企業の社印が押されて
いる必要があります。

  • 企業名
  • 氏名
  • 住所
  • 生年月日
  • 入社日
  • 所属部署名
  • 業務内容

2-7. 外国人体格検査記録

中国大使館が指定する病院に行き、健康診断を受ける必要が
あるのですが、その検査結果が記録された書類を
外国人体格検査記録といいます。

これは、労働許可やビザの申請だけでなく、現地に入国後の
手続きでも必要になる大変重要な書類なので、無くさないように
しましょう。

自分は東京の代々木にある日中友好医院で受診しました。
英語や中国語なども含めた五か国語に対応しており、検査の
際に必要な事前情報などを分かりやすくホームページで
紹介してくれているのでお勧めです。
jcf-clinic.com

発行される書類一式は下記の通りであり、これら全てを
提出する必要があります。また、発行日から6か月以内と
いう有効期間があるので、この期間内に提出が必要な
手続きを済ませないといけません。

  • 外国人体格検査記録
  • 血液検査結果報告書
  • 心電図結果報告書
  • HIV検査結果報告書
  • レントゲンフィルム
  • 在中国日本大使館に提出する健康証明書

基本的にはこれらの原本を提出するのですが、
外国人体格検査記録についてはコピーの提出を
求められる場合もあるので、予めコピーを複数部
取っておきましょう。

3. 外務省の公印確認を受ける

2のステップで一通りの書類が集まったら、それらを中国の
企業に送付する必要があるのですが、書類の種類によっては
海外で使用する前に日本国内で外務省の認証と領事館の認証
という2段階の認証を取得している必要があります。

中国の就労ビザ申請の場合、認証が必要になるのは下記の2種類です。

  • 学歴証明書
  • 犯罪経歴証明書

これら書類の提出先である国の機関は、自国の領事が認証をしている
ということに基づいて、その書類の真正性を判断できるということです。

3-1. 外務省の認証を受ける

外務証による認証は「公印確認」と呼ばれます。
日本外務省が、その書類(公文書)に押されている公印の真正性を
証明するものです。

認証を受けるには、こちらに記載されている手順に従って、
申請書と認証を受ける必要がある上記2つの書類を外務省に
郵送する必要があります。
www.mofa.go.jp

特に問題なければ、郵送してから1週間前後で認証は完了し、
認証済みの印が押された書類が返送されてきます。

3-2. 領事認証を受ける

「領事認証」とは、在日の領事が、その書類が外務省により認証を
受けたものだということを証明するものです。つまりこの認証は、
3-1による外務省の公印確認が完了している書類でなければならない
ということになります。

領事認証は、こちらの中国ビザ申請センターというところに、
既に公印確認を受けた上記の書類を持っていき、直接申請を
する必要があります。
https://www.visaforchina.cn/TYO2_JP/index.shtmlwww.visaforchina.cn

認証の申請をする具体的な手順はこちらを参照ください。
https://www.visaforchina.cn/TYO2_JP/index.shtmlwww.visaforchina.cn

この手順で一つ分かりにくいのは、ビザセンターへ申請しに行く
際には、こちらから事前にオンライン予約をする必要があることです。
https://www.visaforchina.cn/#/nav/quickSelection?visacenterCode=TYO2&request_locale=ja_JP&site_alias=TYO2_JP&isAuthentication=Y

予約をしないで窓口に行っても受け付けてもらえないので
忘れないようにしましょう。

また、予約をしていても結局入口で並んで順番待ちをさせられるので、
予約時間よりも少し早めに到着しておくのをお勧めします。

4. 集めた書類を中国企業側へ送付する

ここまででようやく、自分が日本側で行うべき書類の準備は
一通り完了です。次にやることは、上記の2, 3のステップで
集めた下記の書類を中国の企業に送付することです。

  • 外国人体格検査記録
  • 犯罪経歴証明書(公印確認 + 領事認証済み)
  • 学歴証明書(公印確認 + 領事認証済み)
  • 在職証明書
  • パスポートのコピー
  • 証明写真(縦4.8cm × 横3.3cm)

日本から中国への郵送方法についてはこちらの記事が
参考になりました。送り方にはいくつかありますが、
迷った場合は、日本人が良く利用すると言われている
EMSを使うのがお勧めです。
torisedo.com

また、最近では後述する労働許可申請がオンラインで出来る
ようになっているらしく、上記書類の原本のスキャンをメールで
送ればいいだけの場合もあります。

なので、送付先の企業に事前に、どちらのパターンなのかを
確認した方がいいです。

5. 企業側で労働許可を申請してもらう

自分が日本から郵送した書類が無事に到着したら、企業側に
それらの書類をもって、現地での労働許可を申請してもらいます。

またこのとき、企業側では下記の書類を作成・提出する必要があり、
それらには自分がサインをしている必要があるので、恐らく事前に
企業側から内容確認とサインを依頼されるはずです。

  • 企業との労働契約書(既にサインしているオファーレター)
  • 外国人就業申請書(企業側が作成し、内容確認とサインを依頼される)

無事にここまでの申請手続きが完了すると、自分の中国での
労働許可の証明となる下記の書類が発行されます。

  • 外国人工作許可通知(以下の画像はサンプル)

外国人工作許可通知は中国語版と英語版の二種類が
発行されるのですが、それらは両方とも次ステップの
ビザ申請で必要になるので、無くさないようにしましょう。

6. 日本でビザの申請をする

5のステップにて外国人工作許可通知が発行されると、
メールや郵送などで自分の方へ送られてきます。
そしたらそれらを含めた下記の書類を持って再び
中国ビザセンターに行き、いよいよ就労ビザである
Zビザを申請することになります。

  • 発行された外国人工作許可通知(中文、英文)
  • ビザ申請書(ビザセンターHPでオンライン記入する)
  • パスポートの原本
  • 証明写真(縦4.8cm × 横3.3cm)

ここで一番面倒なのが、2番目にあるビザ申請書の記入です。
これはまず、こちらのリンクからビザセンターのHPに移動し、
オンラインで記入する必要があります。
https://www.visaforchina.cn/#/nav/quickSelection?visacenterCode=TYO2&request_locale=ja_JP&site_alias=TYO2_JP&isAuthentication=N

このページに移動すると、「オンラインによる申請表入力」
というメニューがあるので、そこから記入していきます。
その際、初めて記入するときは何をどう書いていいのか
良く分からない項目がいくつかあるので、こちらにあるような
記入例を参考にするのがおススメです。
chinavisa1.net

そして、オンラインでの記入が終わったら、それを印刷して
2か所ある署名欄に名前と申請日を手書きで記入するように
促されるので、忘れないようにしましょう。この印刷したものを、
最終的にビザセンターに提出することになります。

最後に記入、印刷、署名が終わったら、ビザセンターで申請を
行う日を同じくビザセンターから予約しましょう。認証のときと
違い、かなり多くの人が申請をしようと控えているので、
予約できるのは2~3週間後となる場合が多いです。
また、予約当日はかなりの長時間順番待ちをさせられる
ことになるので、その後に別の予定は入れないことをおススメ
します。

7. ビザを受け取る

無事にビザの申請が出来たなら、申請したビザの種類、
受け取り可能になる日程、受け取り時に支払う料金などが
記載されたレシートを渡されます。

ビザ申請をしてから大体4日後には受け取れるようになり、
当日は上記のレシートと引き換えにビザを受け取れるので、
無くさないようにしましょう。

受け取り当日の流れとしては、まずはこれまでと同様に
ビザセンターに行きます。このとき、入口の警備員に
受け取りで来た旨を伝えてレシートを見せれば中に入れて
貰えます。

その後に受付で順番待ちの整理券を貰い、あとはひたすら
自分の順番が来るのを待ちます。当日は大量に人が殺到
するので、ビザセンターが営業開始する朝9時前から順番待ち
しておくことをおススメします。

そして、自分の順番が来たら受け取り窓口に行き、レシートを
提出すると、ビザが貼られたパスポートを受け取ることができる
ので、あとは内容を確認し料金を支払えば完了です。

就労ビザを取得した後のステップ

無事にビザ取得することができたら、次のステップは
中国への入国と現地での手続きです。

既に説明したように、取得したビザの有効期間である
3か月以内に入国する必要があるだけでなく、その前後でも
いろいろやるべきことがあり、とても慌ただしいです。

次回の記事では、そういった移動前後にやるべきことについて
詳細にまとめようと思います。