EurekaMoments

ロボットや自動車の自律移動に関する知識や技術、プログラミング、ソフトウェア開発について勉強したことをメモするブログ

日本企業から中国企業に転職して自動運転エンジニアとして働くことになった話

目的

突然ですが、今年2023年に新卒から12年務めた日本企業を退職し、
中国の企業に転職して現地で自動運転システムエンジニアとして
働くことになりました。

今まで海外で働いた経験も無く、中国語も話せない、そしてコロナ禍
ということもあり、日本企業から中国企業へ転職するというのはかなり
大変だったのですが、なんとか無事に自動運転システムエンジニアとして
雇ってもらうことができました。

自分の今回の転職活動経験が他の誰かの参考にもなればと思い、今回の
記事にまとめることにしました。かなり盛沢山の内容ですが、最後まで
読んでいただけると嬉しいです。

目次

自己紹介

  • 現在35歳
  • 私立大学機械工学専攻の修士卒(ロボット制御の研究してました)
  • 大手日本企業の技術職
  • 社会人13年目(転職経験はなし)
  • 自動運転システム技術の研究開発に従事

現職について

大手日本企業の機械メーカーで働いています。
車両の自動運転システムの研究・開発に従事し、アルゴリズムの先行研究、
ソフトウェアの要件定義、設計、実装、テスト、時には客先現場でのシステムの
稼働データ解析、不具合対応などに取り組んできました。

使ってきたプログラミング言語としてはC/C++、MATLAB、Python、Java、
SQLを開発するシステムや目的に応じて使い分けていました。また、
自動運転技術としては主に、自己位置推定、地図構築、障害物検出、
衝突判定、自動ブレーキといった機能を主に担当してきました。

職場自体はとてもホワイトで、有給休暇も取りやすく、社宅に住むことが
でき家賃もほとんどかからないので、ゆとりのある生活が出来ています。

給料が少し安いかなと感じたり、組織としての在り方に不満を感じることも
ありますが、一緒に仕事をしていた人達は皆良い人ばかりなので、総合的に
見れば楽しく働くことが出来ています。

転職理由

彼女との国際結婚

自分には長い期間付き合っている中国出身の彼女がいるのですが、
かれこれ5年近く日本と中国の遠距離恋愛が続いていました。そして、
そこにコロナが流行り出したことでお互いの国に行き来が出来なくなり、
このままではずっと会えなくなってしまうため、これからどうするべきか
話し合いました。

そして結論として、自分が中国の企業に転職し、中国で結婚して一緒に
暮らすということに二人で決めました。

コロナ禍の状況では、中国へ入国するには就労ビザか配偶者ビザのような
長期滞在向けビザが必要でした。ただし、配偶者ビザについてはお互いが
相手の国に行って手続きをしないと取得できません。

そのため、自分が日本に居ながらも取れる就労ビザを取るしか選択肢は
無いと考え、日本で勤めていた企業を辞めて、中国現地の企業に転職する
という決断をしました。

海外で自動運転技術の研究開発をしたい

元々、海外の大学に留学したり、海外の企業で働いてみたいという憧れは
あったのですが、自分の実力が足りなかったり、具体的に何をやりたいの
かも決まっておらず、これまでずっと行けずじまいでした。

今の会社でも海外駐在や留学制度などの機会を得るチャンスはありますが、
技術を扱うエンジニアとして行ける駐在ではなかったり、留学候補者にすら
選ばれない状態でした。

そのため、今回の国際結婚を機に中国に行ければ、日本より遥かに自動運転
技術の研究やビジネスが進んでいる企業で現地の優秀なエンジニア達と共に
仕事が出来たり、現地の大学にいつか留学して自動運転技術の研究が出来る
機会に巡り合えるはずだという期待を抱いたのも、今回の転職を決断する
理由の一つでした。

転職活動期間

中国移住を決意して転職活動を始めたのが、本記事を書いてるときから
約3年前の2020年4月、そこから求人を探して応募、時にはテストや面接を
受けたりして何度かオファーを貰うことが出来たのですが、その度に
給与やビザサポートなどの交渉の段階で合意が取れずに断られ、なかなか
決まらない期間が続きました。

そして最終的に今回オファーを貰った企業と契約を結んだのは今年2023年の
1月になります。始めた頃はもっと短期間で終えれると思っていたので、
3年もかかると何度も心が折れそうになりましたが、中国にいる彼女も
諦めずに応援し続けてくれていたので、自分もなんとか最後まで頑張り
続けることができました。

転職する企業を決める際の条件

転職活動をする上で、下記のような条件に従って転職する企業を
選んでいました。

ソフトウェア開発業務に携われる

これから先もこの仕事を続けたいと思っているので、
この条件だけは外せませんでした。

自動運転システムの研究開発業務に携われる

開発したいソフトウェアのジャンルとして、一番やりたいのはやはり、
現職でもやってきた自動運転システムのためのソフトウェアでした。
ただし、転職活動が難航した場合は、中国行きを優先するためにも
他ジャンルのシステムでも最悪いいと思ってました。

現状よりも高い給与が貰える

中国に移動した後は、彼女と結婚して、一緒に住む家を購入したいと
考えていたのですが、中国の特に都心部では住宅購入や賃貸の値段が
かなり高騰しているので、現状よりも良い給与が貰えないと、現地での
生活が厳しくなるので外せない条件でした。

ソフトウェア開発の態勢が整っている

コーディングルールや開発環境、その他ツールなどといった開発体制が
ちゃんと整備されており、快適に開発業務が出来そうな企業かを、面接の
際に確認していました。

転職活動の間にやったこと

転職活動中は、プライベートな時間の全てをそれに捧げていました。
求人探しと応募、面接やテストのための勉強はもちろん、オファーの
交渉やビザ申請の準備に追われ、3年の月日はあっという間に過ぎました。
それまでにやってきたことを具体的に挙げると、下記のものがあります。

レジュメを作成する

企業の求人に応募する際は、自身の経歴などを記載したレジュメを
提出しないといけません。応募する求人の内容に応じて、どう書けば
企業側の目に留まりやすくなるかを考えながら、日々レジュメを
アップデートしていました。詳細はこちらの記事にまとめているので
参照ください。
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求人を探して応募する

いろんな転職サイトやLinkedInなどのSNSを通じて、自分の希望に合う
求人を毎日探し続けていました。企業の採用ページに行ってアカウント
登録したり、そこで自分の職務経歴などを記載するのはかなりの時間を
奪われるので、一件応募するだけでヘトヘトになっていました。

詳細はこちらの記事にまとめているので参照していただきたいのですが、
求人探しや応募を自力でやるのはかなり大変なので、海外の企業とコネのある
転職エージェントと繋がりを作ったことで、今回契約を結んだ企業に出会うこと
ができたので、とても感謝しています。
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面接・テストの対策をする

面接やテストのやり方は企業によって様々でした。
自分が今まで携わってきた仕事の事は当然聞かれますが、それ以外にも
アルゴリズム・データ構造、自動運転技術に対しての理解度、
プログラミング言語に対しての理解度、コーディング能力を
問われます。

こういった様々な形式の面接・テストに対処するための勉強や対策に、
こちらの記事にまとめているように日々取り組んでいました。
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英会話スキルの向上に取り組む

中国へ移住すると言っておきながら、自分は中国語がまったく話せません。
勿論これから勉強していくのですが、少なくとも転職活動期間中に勉強した
ところで、技術面接などで中国語でやり取りできるようになれる訳は
ありません。

そのため、せめて英語では面接やオファー交渉などのやり取りをしっかり
できるようになろうと考え、日々勉強に励んでいました。そこで特に重視
したのは自分で最も弱いと思っているリスニングであり、そこを強化するには
どうするのがいいかと考えた結果、こちらのYouTubeチャンネルを活用
することにしました。
www.youtube.com

自動車やロボットの制御に関する経験がある人ならご存じであろう
MATLAB/Simulinkの公式チャンネルであり、自動運転やAI、ソフトウェア
開発などの技術を英語で解説してくれています。

このチャンネルの動画を見れば、英語のリスニング力の向上と技術の
学習を同時にこなすことができるので、毎日の日課として各種動画を
視聴するようにしていました。

そのおかげで、転職活動中の英語での各種やり取りは特に問題なく
スムーズにできたので、それなりに効果はあったと思います。

オファー内容の交渉をする

今回の転職活動が長引いた要因の一つはこのオファー交渉だと思います。
希望年収や勤務地、就労ビザのサポート依頼などを伝えるのですが、
年収が現状よりも低くなってしまったり、ビザのサポートを断られたり
してなかなか正式契約にまで至れませんでした。

こういった交渉と最終的なオファー受諾の判断のために、どういった
事を確認しておけばいいのかをこちらの記事にいろいろまとめたので、
参照ください。
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応募した企業と選考結果

応募した企業の数は数え切れないくらいあります。その中で書類選考を
通過し、テストや面接に呼ばれたのは15社、そのうちオファーを貰えた
のは4社でした。

ただし、その4社のうちの3社とはオファー交渉で話が合わなかったので
後からオファーを取り下げられてしまい、その後も諦めずに活動し続けた
結果、今回契約に至った企業からオファーを貰うことが出来ました。

今回の転職活動における反省点

まず一つは、プログラミングテストの対策をもっと早くからやっておけば
良かったということです。アメリカや中国では非常に多くの人が同じ求人に
応募するため競争が激しく、それの足切りをする位置付けとして
プログラミングテストがあります。日本の大学受験における共通テストの
ようなものです。

勉強しておくべきだった内容として、アルゴリズム・データ構造は勿論
なのですが、自分が最も馴染みのあるプログラミング言語そのものに
ついて詳しくなっておくのも重要と感じました。

ある企業の面接ではこちらの記事にまとめたような事を質問されたのですが、
冷静に見れば基本的なものばかりであるにも関わらず、まともに回答
できなかったものも多くありました。
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そしてもう一つは、自分の希望条件に拘り過ぎていたということです。
実は転職活動を始めてから数か月で早くも一つ目のオファーを貰う
機会があったのですが、中国国内での勤務地として上海を希望していた
のに対し、オファーされた勤務地は北京でした。

当時はこんなに長期戦になるとは想像してなかったので交渉決裂と
なってしまったのですが、今思い返すと、まずは中国に入国できる
ようになることを最優先に考え、勤務地にはあまり拘らなくても
良かったのではないかと思っています。

中国で働く企業・業務について

今回雇用契約を結ぶことになったのは、中国大手の建設機械・鉱山機械
メーカであり、そこの先端技術研究部門で大型ダンプトラックの
自動運転アルゴリズムの研究開発をするエンジニアとして働く
予定です。

また、年収についても現状よりも高いものとなりました。それ以外の
福利厚生も充実した内容のオファーを貰えたと思っています。ただし、
元々希望していた年収額までには至らなかったこと、勤務地が希望
通りとはならなかったので、そのうちまた別の企業への中国国内での
転職活動を始めようと考えています。

いろいろ苦労しましたが、最終的には自分がやりたい仕事ができるように
なるので良かったです。中国の企業は日本の企業よりも残業も多くハードに
働くと言われているし、年俸制の3年契約となるので戦力になれなければ
すぐにクビになるかもしれないという不安もあるのですが、それは自分の
努力次第でどうにでもなると思うので、新天地での刺激として楽しみながら
頑張っていくつもりです。

まとめ

以上、ここまでかなりの長文になってしまいましたが、今回の転職活動の
内容をまとめると下記の通りになります。

  • 中国へ移住するために約3年間の転職活動を行った
  • 15社の面接・テストを受け、4社からオファーを貰えた
  • 自動運転アルゴリズムの研究開発をするポジションに就けた
  • 年収は希望額に届かずも、現状よりはアップさせることができた

最後に

晴れて中国での就職先が決まったので、本記事を書いている時点では
就労ビザの準備を進めています。これはこれでかなり面倒な作業なので、
こちらの記事に別途準備の手順をまとめています。
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転職活動を始めるとき、中国にいる彼女はどちらかと言えば反対の意見でした。
言葉の通じない国で働くのは簡単な事じゃないし、日本の企業で働いていた方が
幸せなんじゃないかという理由からです。

でも自分は彼女と一緒になれるなら日本だろうが中国だろうがどこでも良かったので、
それを実現できる可能性が高い中国移住という道を選びました。最終的に彼女もそれに
賛同してくれ、3年間一度も会えない状況下でも諦めずに最後まで応援し続けてくれた
おかげで、今回の転職活動を乗り越えられたと思っています。感謝しかありません。
これからは中国で二人で幸せに暮らしていけるように精一杯頑張っていきます。

最後まで本記事を読んでいただきありがとうございました。
今回の自分の経験が、同じように中国やその他海外でエンジニアとして働きたい人の
役に少しでも立てば嬉しいです。