目次
背景・目的
前回の下記の記事でも書いたように、最近は自動車の運動学について
学び始めています。
勉強する中で目にするのは、ほとんどが高校生の頃に習った物理の知識
ですが、だいぶ忘れているなぁ、と感じます。これからまたいちいち
調べるのも非効率なので、今後必要になる物理の基礎知識や関連情報を、
今回の記事にてまとめておく事にします。まずは直線運動編です。
参考ブログ
タイトルの通り、自動車の運動について物理学の知識を豊富に交えながら
解説してくれています。高校生の頃にこのブログに出会えていたら、もっと
物理を楽しく勉強できたかもしれません。
単位系
物理学ではMKS単位系(長さの単位にメートル[m]、質量の単位にキログラム[kg]、
時間の単位に秒[s]を用いる)が広く利用されていました。そして今では、
MKS単位系を拡張した国際単位系(SI)が最もよく利用されています。
直線運動における物理量
自動車の直線運動にて扱われる物理量は、下記のようなものが挙げられます。
変位
位置、距離、長さなどのことで、単位はメートル[m]となります。
例えば自動車の位置座標、制動距離、タイヤ半径などが該当します。
速度
自動車の速度には普通km/hが使われますが、プログラムの中で処理する時は、
メートル毎秒[m/s]やミリメートル毎秒[mm/s]として扱う事が多いです。
自動運転におけるACCや自動ブレーキでは、障害物センサからの距離情報に
基づいて制御が行われますが、こういった距離情報はメートル単位であることが
多く都合がいいためです。
加速度・減速度
自動車の運動において、加速・減速の強さにG(ジー)という単位を用います。
これは1G = 9.8[m/s2]であり、それを基準に0.1Gとか0.4Gというように使います。
ここでいう0.1や0.4という係数は、という式から路面摩擦係数に
該当します。
力
質量が1[kg]の物を1[m/s2]ずつ加速させ続ける力を1ニュートン[N]といいます。
力を、質量を
、加速度を
とすると
となりますが、
こうやって改めて復習すると、なぜこういった式となるかが良く分かります。
仕事(=エネルギー)と仕事率
1[N]の力で物体を1[m]動かす仕事を1ジュール[J]と言います。
仕事を、力を
、動かす量を
とすると
となります。
また、物体を動かすだけでなく、動いてる物体を止めることも仕事になります。
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これを自動車のブレーキシステムに当てはめると、停車するまでの制動距離が
となり、制動力
が大きいほど制動距離は短くなる。また、
と
なることから、車体の荷重が大きければそれだけ制動力は大きくなり、制動距離は
短くなると考える事ができます。
そして、単位時間あたりの仕事の量を仕事率といい、1秒間に1[J]の仕事をし続ける
仕事率を1ワット[W]といいます。
慣性
慣性とは、「物体が常に現在の運動状態を保とうとする性質」のことです。
運動学の中では慣性力や慣性モーメントといったものも扱うように、この慣性
の基本的な定義を把握しておくことはとても重要だと思います。
運動量
質量を、速度を
、運動量を
とすると、
となります。
ここで、速度は大きさだけでなく方向も持つため、運動量も方向を持ちます。
物体は外部から力を受けない限り、既存の運動状態を保持しようとします。この
原動力となるのが運動量です。
また、運動量は線形運動量と角運動量に分類されます。自動車や飛行機などが
直線運動をする場合が前者、空間上で一点を中心に回転する場合が後者となります。
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運動エネルギー
運動エネルギーは、運動している物体または粒子が持つエネルギーです。
物体の質量を、速度を
、運動エネルギーを
とすると、
となります。これは物体に与えられた仕事と等しく、単位も同じ[J]になります。
このことから、自動車のブレーキによる制動力と停車するまでの制動距離から
求まる仕事と運動エネルギーの間には下記のような関係が成り立ちます。
同じ車両でブレーキの制動力が変わらないとするなら、制動距離は車速の
二乗に比例するということが分かります。
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