EurekaMoments

ロボットや自動車の自律移動に関する知識や技術、プログラミング、ソフトウェア開発について勉強したことをメモするブログ

自動運転技術を手掛ける企業の技術動向: RADAR編

背景・目的

先日リリースされた下記の記事を読んだことで、車の自動運転というものは様々な技術が組み合わさる事で実現される、また各カテゴリにおいて、その技術を手掛ける様々なスタートアップ企業が存在する、ということを改めて実感しました。

www.nikkei.com

f:id:sy4310:20181127220257p:plain

ここで紹介されている各スタートアップ企業の取り組みにどういう特徴があるのか詳しく知りたくなってきたので、今回から複数回に分けて各企業の特徴を調査してメモしていこうと思います。今回はRADAR編となります。

自動運転におけるRADARの役割

自動運転におけるミリ波レーダの役割や近年の技術動向についてはこちらの記事に詳しくまとめられています。

jidounten-lab.com

最近では、従来の76GHz帯レーダの弱点を補うため、より優れたセンシング能力を発揮できる79GHz帯高分解能のレーダの開発が進められています。
従来の76GHz帯では使用可能な帯域が0.5GHzに制限されているため、必要な分解能が得られませんでしたが、79GHz帯であれば4GHzと帯域幅が広いため高い分解能を持つことが可能となります。また、従来に比べて中短距離の計測も可能となり、歩行者や自転車などの小さな対象物の分離・抽出性能が向上し、早期の発見が可能となるため、安全運転支援システムの性能向上に大きく寄与します。

大手企業の動向

日本国内では、パナソニックが独自のデジタル符号化技術を適用することで高機能化したレーダ技術を、79GHz帯ミリ波レーダに用いる開発を進めており、これにより交差点内の事故を未然に防ぐセンサなど、より安全性の高いシステムが構築できるとしています。
また、ミリ波レーダの開発に高い実績を持つデンソーテン(旧富士通テン)も、高分解能で広角検知を可能にする79GHz帯レーダを開発したことを発表しています。

自動運転向けシミュレータの開発

jidounten-lab.com
近距離無線システムや組み込みシステムの開発を行うOTSLは、ミリ波レーダやLiDARのシミュレータの販売をしています。また、2018年10月17日には赤外線やカメラ、超音波の各センサに対応した自動運転向けシミュレータの販売も開始すると発表しました。
シミュレータを使うと、自動車メーカなどは実車による公道テストを行わなくても走行を再現できるようになります。ミリ波レーダのシミュレータでは、電波の照射角度や強度などを自由に設定できるようです。

RADAR開発に取り組む未上場の現存企業

f:id:sy4310:20181127221756p:plain

Lunewave

Lunewave – Cutting edge antenna and sensor technology
youtu.be
techcrunch.com 76~81GHz帯の自動運転システム向けミリ波レーダの開発をしている。センサ自体は小型で高分解能であり、最長300mの距離を360度全周囲で監視できると謳っている。 BMWやBaiduがこれの開発に投資している。

Echodyne

www.echodyne.com
www.youtube.com
jp.techcrunch.com
コンパクトで軽量であることをアピールポイントとしたレーダシステムを開発している。投資家達は総額で4400万ドルを投資しており、まずはドローン向けの小型レーダの開発がスタートしている。ゆくゆくはこれが、自動車やボート、移動ロボットなどにも利用できるようになる計画らしい。

Arbe Robotics

www.arberobotics.com
www.youtube.com
israel-keizai.org 検知モジュール、処理ユニット、特許アルゴリズムからなるC-SWAP(C:コスト、S:サイズ、W:重量、P:パワー)が画期的に低いレーダを開発したという企業。このレーダを利用して、どんな車にも簡単に組み込めるハードウェアと、完全な自動運転と制御を可能にする自動操縦アルゴリズムを提供できるとしており、誤検知0%、荒れ模様の天候でも暗くてもOK、射程が長くて正確、低コストとアピールしている。

Metawave

www.metawave.co
eetimes.jp
米国カリフォルニア州パロアルトに拠点を置くXeroxの「PARC(パロアルト研究所)」からスピンアウトした企業。2017年1月に設立され、メタマテリアルレーダ、アンテナの商用化に向け、PARCから独占的ライセンスを受けて”フルレーダパッケージ”を開発している。
メタマテリアルは、ソフトウェアで制御された小型の工学構造体で、プリント基板上に配置される。以前は軍事用途に限定されていた、はるかに大きく、強力で、高額なシステムでのみ可能だった方法で、電磁ビームを操作できるようにしたという。最近では、デンソーがミリ波レーダの技術開発を目的にMetawaveに出資したと発表した。

Oculii

www.oculii.com
f:id:sy4310:20181129212619p:plain
f:id:sy4310:20181129212705p:plain
www.mwrf.com
200mの範囲内で200個の検知ターゲットを同時にトラッキングし、周辺環境のマッピングや位置計測に利用することができる4Dレーダシステムを開発している。そのシステムは、周囲のカメラ画像と統合できるように最適化されている。過去5年間で、サムスンのような大企業から14.3百万ドルの投資金を得ている。