EurekaMoments

新米エンジニアが一人前を目指す修行の日々を記していくブログです。

ACC(Adaptive Cruise Control)についての基礎学習メモ

目次

背景・目的

車の自動運転に必要不可欠な技術の一つとして、自分の進行方向にある障害物に衝突しそうかを判断して自動でブレーキを制御したり回避する衝突回避技術があります。その中でも既に実用化が成されているACC(Adaptive Cruise Control)と衝突被害軽減ブレーキについて基礎的な事を勉強する機会があったので、その内容をメモとして残しておきます。

参考記事

今回の勉強では、こちらの記事を読ませていただきました。 ACCについてとても詳しく書いてあり、その中から特に重要だと感じた部分をピックアップしてまとめていきます。

jaf-acc.jp

ACCのメカニズムについて

ミリ波レーダなどのセンサで前方車両との距離を計測し、設定された車間距離を保ちながら走行するようにブレーキを自動制御する。
この自動制御には2種類の方法がある。一つは、前方車両が加速すると同時にACCによる加速が行われる方法。二つ目は、前方車両が加速した分の車間距離をまず確保してから、ACCによる加速操作が行われる方法。
ACCによる自動制御による減速度(ブレーキ制御)と加速度(アクセル制御)は国土交通省によって上限値が定められているので、前方車両が急加速や急ブレーキを掛けた場合には対応しきれない。また、センサーからの情報をアクセルやブレーキの操作に反映させる反応速度についても、使用している部品や制御方法によって違いが生じる。

夜間や悪天候でもACCは機能するのか

ACCで主に使われるセンサはミリ波レーダと光学式カメラである。ミリ波レーダは太陽光に左右されないので昼夜問わず機能する。また、物体認識に光を必要とする光学式カメラでも、自車のヘッドライトが点灯しており前方車両を照らす状態であれば昼夜による機能差は基本的には発生しない。
ただし、あらかじめ設定された使用条件から外れた場合、また、センサが前方車両を認識できない条件に陥った場合にもACCは自動的に作動を解除する場合がある。対応する車速域には2つのタイプがあり、一つは時速0kmから作動する「全車速対応型」、もう一つは時速30~40kmから作動する「車速制限型」がある。

高速域でも機能するか

時速100kmを大幅に超えるような速度でもACCは機能する。しかし、ACCのシステムが行うブレーキ制御には限界があるので、安全に使うには注意が必要である。欧州で販売されている搭載車の中には、時速200kmでも設定可能な車種がある。
時速100kmを超えて走行している車両に追従させている際、前方車両が減速すると自車も適切な車間距離を保つためにブレーキ制御が行われる。しかし時速100kmで追従制御している場合と違い、減速が遅れる印象がある。これは、ACCのシステムが行えるブレーキ制御には決まりがあり、一定以上の減速度を生み出すことができないことに起因している。

割り込みされた場合の動作

よほど自車に接近した状態でなければ、ACCのシステムが許容する範囲内のブレーキ操作が行われる。隣のレーンの車両が車線変更などで前方に割り込んできた場合、それを新しい前方車両とみなして、設定された車間距離を確保した時点から追従走行が始まる。最も注意すべき点は、いち早く安全な距離を確保することである。状況によってはシステムによる減速だけでは足りないことがある。
割り込んできた車両が二輪車のように面積が小さい車両の場合、ACCの種類によっては前方車両として正しく認識できない可能性がある。また、センサの認識範囲から外れてしまうと、ACCのシステムは二輪車が車線変更したと判断して、設定した速度まで加速しようとする場合がある。

走行中に追従している前方車両がいなくなった場合

前方車両の車速と自車の設定速度の速度差によって動作が異なる。
まず、速度差が小さい場合。自車の設定速度が時速80kmであるのに対して追従していた車両の車速が時速70km程度なら、前方車両が加速したとしても時速80kmの範囲内であれば追従走行はそのまま行われる。しかし、前方車両が車線変更で前方からいなくなると、時速70kmを保って追従していた自車は設定速度の時速80kmまで自動的に加速を開始する。
次に、速度差が大きい場合。追従している前方車両の車速が時速70kmで自車の設定速度が時速100kmなら、前述したように前方車両が車線変更でいなくなれば自動的に時速100kmまで加速しようとする。

カーブに差し掛かった場合

カーブの曲率がきつくない場合は、ACCによる追従走行はそのまま継続される。最新のACCシステムの中には、カーブであると判断された場合に自動的に速度を少し抑える「カーブ制御」を行うものもある。速度が抑えられることでカーブ走行時の安定性が高まるとともに、カーブを走行する前方車両との車間距離を適正に保つ効果が得られる。
逆に曲率がきつい場合は追従走行が継続できなくなる。これは、ACC用センサの認識範囲から前方車両が外れてしまうからである。ACCの多くが採用している長距離型のミリ波レーダセンサは、前方に対して扇形の認識範囲を持っている。その前方照射範囲は長いもので200m程度まで届くが、広がる角度は左右方向にそれぞれ7~12度程度となっている。

普通車と大型車のACCの違い

バスやトラックのような大型商用車のACCは、普通車のものとは「減速の仕方」が異なる。大型商用車には、普通車と同じフットブレーキによる減速とエンジンブレーキによる減速の他に、補助ブレーキ(リターダブレーキ)による減速が存在する。大型車のACCによる減速では、このリターダブレーキによる減速をメインに前方車両との距離が保たれる。
しかしながら、その制動力はフットブレーキほど強くはないので、前方車両の急減速などにより強い減速度が必要な場合はフットブレーキが併用される。

ACCと「衝突被害軽減ブレーキ」の違い

システム上の決定的な違いは、ACCが前方車両との車間距離を保つ「運転操作支援機能」であるのに対して、衝突被害軽減ブレーキは前方車両や停止している車両との衝突が予測される場面で、ドライバーへの警報と自動ブレーキを働かせ衝突を回避、もしくは「衝突時の被害を軽減する機能」である点である。
衝突被害軽減ブレーキでは、ACCと違ってアクセル制御は行われない。進路上の前方車両や停止車両との衝突が避けられない時に限りブレーキ制御が介入する。しかし、いきなり自動ブレーキが作動するのではなくて、その前段階で音や振動による警報がドライバに対して発報される。
発報は第一段階と第二段階の2回行われるが、いずれも「Time to Collision / 衝突予測時間」に応じて決められていて、第一段階ではドライバーのブレーキ操作などで衝突が回避できるタイミング、第二段階ではドライバーのブレーキ操作では衝突が不可避とされるタイミングに設定されている。

ACCと「衝突被害軽減ブレーキ」の関係

ACCと衝突被害軽減ブレーキが共有できるセンサーの方式には、現在、「ミリ波レーダ方式」と「複眼式光学式カメラ方式」の2種類が使われている。両方のセンサが搭載されている場合もあるが、車種によって使い分けたり、両方を共有したりする。

予防安全性能アセスメント

衝突被害軽減ブレーキの装着率は年々向上しており、それを受けて国土交通省と自動車事故対策機構による「予防安全性能アセスメント」が2014年度よりスタートした。 初年度となる2014年度の試験項目は、AEBS試験・評価とLDWS試験・評価の大きく分けて2つの項目が用意された。
AEBS試験・評価には、停止している目標物に対して時速10~50kmの間を時速5km刻みで進み、ドライバーが操作せずに自動ブレーキのみで衝突が回避できるかを検証する「CCRsシナリオ」と、時速20kmで走行している前方車両に対して時速30~60kmの間を時速5km刻みで進み、同じく自動ブレーキのみで衝突が回避できるかを検証する「CCRmシナリオ」があり、この2つを合わせて「AEB試験」と呼ぶ。
「CCRsシナリオ」と「CCRmシナリオ」には、さらに「FCW試験」と呼ばれる評価がある。車両が危険を認識したことをドライバーに知らせる警報から1秒後にアクセルペダルを離して、1.4秒後に規定のブレーキ(0.2秒で最大0.425の減速度を発生させる)をかけ続けることで、時速何km分の速度低減効果が得られるかを評価するものである。
LDWS試験・評価は、時速60kmで走行中、測定区間の道路にペイントされた車線境界を示す白線をまたいだ時に警報が発報されるかを検証するものである。
2015年度からは、前述した試験・評価に車両後方の死角をカメラで車載モニターに映し出す「後方視界情報提供装置」の項目が加わった。